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葉月日記

葉月日記

☆歩く速さ(強度)

※この文章は、2006年度 某区の消費生活通信講座のテキスト「ウォーキン
グ」~もっと気軽に運動してみよう~用に書いたものです。


5、歩く速さ(強度)

● ウォーキングの経済速度

 歩く速さには、一人一人にとっての、心地よいリズムがあります。気持ち

よく歩きたい時は、心地よいリズムで歩くとよいでしょう。この心地よいリ

ズムは、自動車に例えると燃費が一番よくなる経済速度のようなもので、最

小のエネルギーを使って歩くことができる速さです。歩行時の平均的な経済

速度は分速74メートルといわれています。これは、1キロメートルを15分弱

で歩く速さです。長時間のウォーキングや、病後のリハビリなどでは、この

心地よいリズム(経済速度)で歩けるとよいでしょう。

 では、より効果的にウォーキングの効果を出す為には、どのくらいの速さ

で歩いたらよいか、考えてみましょう。

●ウォーキングの目標心拍数

 普段より少し強い負荷をかけることによって身体の機能は向上します(過

負荷の原則)。ところが、強すぎる運動はかえって健康を害する恐れがある

ので注意が必要です。では、健康づくりのために最も効果の出る強さの運動

は、どのくらいでしょうか。運動中の心拍数(脈拍)を測ることで、その運

動の強さを推測する方法があります。私たちが普段座って安静にしている時

の心拍数は、1分間に60から90回ほどです。この心臓のドキドキ(心拍

数)は歩いたり、階段を昇ったりと運動が激しくなるにつれて速くなりま

す。心臓は収縮と拡張を繰り返して、全身に血液を送ります。呼吸も速くな

り、酸素を取り入れ肺でガス交換が行われ二酸化炭素を吐き出します。ウォ

ーキングやゆっくりとしたジョギングなどの有酸素運動では、この呼吸で取

り入れた酸素を火付け役として、エネルギーの元を作りながら、使っていく

ので、長く運動を続けることができます。ところが、急な上り坂や、階段な

どを速いスピードで上り続けると、すぐに動けなくなります。それは、運動

が強くなったため、呼吸で取り入れた酸素を利用してエネルギーの元を作る

ことが間に合わなくなり、さらに筋肉中に蓄えられている即効性のエネルギ

ーも不足し、その結果、疲労物質の乳酸が作られて、筋肉にたまってしまう

からです。

 このように、弱い運動をしている間は、有酸素運動ですが、運動が激しく

なると酸素を利用することが追いつかなくなり、無酸素運動になります。少

し専門的になりますが、この有酸素運動から無酸素運動に変わる境界域の事

を、無酸素性作業閾値(:anaerobic threshold)ATといいます。この閾値は、

体力のある人では、高く、体力がない人では低くなります。この、閾値ぎり

ぎりの強さでトレーニングをしていくと、心肺機能が向上し、さらに酸素を

使って力を発揮する筋繊維や、毛細血管の数が増え、閾値が上がってきま

す。

この、閾値ぎりぎりの強さの運動こそが、その人にとっての至敵運動強(運

動効果の上がる適した強さ)といえます。そしてこれが、目標の運動の強さ

となります。

無酸素性作業閾値(:anaerobic threshold)ATぎりぎりの運動の強さ(至敵運

動強度)は、だいたい「ややきつい」と感じる段階です。この「ややきつ

い」と感じる強さの運動は、推定最高心拍数(220-年齢)の60~7

5%に相当します。この心拍数が、運動中の目標心拍数と言えるでしょう。

 目標心拍数を計算してみましょう。

55歳の人の目標心拍数は、

(220-55)×0.60~0.75=99~123拍/分

運動中の心拍数が、1分間に99~123拍になるような速さで、歩くと効

果的ということです

□のなかに、ご自分の年齢を当てはめて、計算してみましょう。

(220-□)×0.60~0.75=(    )~(    )拍/分


この心拍数が、あなたの運動中の目標心拍数となります。


● ウォーキング中の心拍数の測り方

 ウォーキング中に立ち止まり、10秒間脈を取ります。その値を6倍して

ウォーキング中の心拍数を求めます。手首の橈(とう)骨(こつ)動脈またあご

の下の頚(けい)動脈に人差し指、中指、薬指の3本の指を当てて測りましょ

う。信号待ちなどを利用するとよいでしょう。また、腕時計式の便利なもの

もあります。


表2 ウォーキング中の目標心拍数のめやす

 年齢   目標心拍数
35歳 111~138 拍/分
45歳 105~131 拍/分
55歳  99~123 拍/分
65歳  93~116 拍/分
75歳  87~108 拍/分
85歳  81~101 拍/分

 ただし、この値はあくまでもひとつの目安として考えてください。個人の

体力や、身体の状況によっても違ってきます。飲んでいる薬の影響で、運動

中の心拍数が上がりにくくなっている場合や、高齢になると、心拍数があま

り上がらず血圧があがってしまう場合もあります。

そのような時は、運動中に自分自身で感じるきつさの程度から、その運動の

強さを推し量る自覚的運動強度という尺度を用いるとよいでしょう。

● 自覚的運動強度RPE ( rate of perceived exertion )

 その運動が、「楽」とか「きつい」とかの自分の感覚は、運動強度を推測

するよい指標となるのです。自覚度のそれぞれに対応する言語表現があり、

それぞれに対応する数字があります。この数字を10倍したものは、20歳

代青年の推定心拍数になるように設定されています。この自覚的運動強度の

11(やや楽である)から13(ややきつい)の間でウォーキングを行うよ

うにするとよいでしょう。


自覚的運動強度 RPEのめやす(ボルグスケール)

標示 自覚度

20 もうだめ
19 非常にきつい
18
17 かなりきつい
16
15 きつい
14
13 ややきつい  目標心拍数  至敵運動強度
12
11 楽である
10
9 かなり楽である

7 非常に楽である
6 ( 安静)


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